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旅 05月号 [雑誌] (雑誌)
出版社/著者からの内容紹介 【今号の特集】
不思議な縁の聖地紀行
文・イラスト 近藤ようこ

懐深い神々

 なにたる因果の御縁やら。
 昔いっしょに仕事をしていた編集者Aさんと十数年ぶりに再会し、熊野詣でに出ることになった。特に旅行好きでもなく、日本全国行ってないところのほうが多いのに、熊野だけは今度で四回目なのだった。
 これまでの三回も本格的に古道を歩いて行ったわけでなく、電車とバスを乗り継いでいた。今回は紀伊田辺でカメラマンの中野晴生さんと落ち合い、中野さんの車に乗せていただく。これはもう、法皇や上皇が輿に乗って行ったのと同じようなものである。
 コースは中辺路。紀伊田辺から国道311を走る。「熊野ロマン街道」という標識がついている。熊野に初めて来たのは二十三年前で、たしか本宮まで四時間かかったはずだが、現在は一時間五十分だそうだ。当時の道路はくねくねした一車線で、たまに対向車が来るとすれ違うスペースのあるところまで、どちらかがバックせねばならなかった。木立が光を遮って暗く、しばしば枝がバスの窓をこすってパキパキ音をたてていた。
 それから訪れるたびに道路が新しくなり、「熊野古道」という看板や道案内、土産物屋などが増えて、地元の力の入れようがわかった。現在は二車線の見通しのいい道で、駐車場やトイレも整備されている。
 まもなく滝尻王子に着いた。ここより先が聖地になるそうだ。
 古来、熊野は死者の集まる場所だった。などといえば今そこで暮らす人には迷惑だろうが、もともと日本人には死ねば魂が山に行くという山中他界の信仰があった。わけても山深い熊野が聖地とされたのだろう。
 熊野三山、本宮・速玉・那智の社にはそれぞれ主神として家津御子神・速玉神・夫須美神が祭られているが、初めは山や石や滝そのものを神として崇めていたはずだ。後に仏教と結びついて熊野権現信仰が生まれ、修験の場ともなった。
平安時代の「熊野権現御垂跡縁起」には、猟師が大猪を採って肉を食べたが、実はその大猪は熊野権現だったと語られている。出産や月経を熊野の神は厭わないことを表す説話もある。殺生や血や肉に関する生々しいケガレをものともしない、大きな懐深い神とされていたのだろう。
 夕方近く、湯の峰に着いた。硫黄の匂いが漂う、静かな湯治場という感じだ。本宮に参る前にまずここで身を清める。
 湯の峰といえば「つぼ湯」。中世末の口承文芸である説経節「小栗判官」は、私が熊野に興味を持つきっかけとなった物語だ。
 主人公小栗は照手姫のもとに強引に婿入りしたため、怒った照手の父に殺される。照手も海へ流し捨てられる。小栗は閻魔大王の計らいで蘇生するが、目も見えず耳も聞こえず動くこともできない。湯の峰の湯に入れば元通りになるというので、車に乗せられ、街道の人々の情けに引かれて熊野を目差す。途中、なにたる因果の御縁やら、売られ売られて下女として働いていた照手と再会するが、お互いを認識できない。それでも照手は亡夫の供養になると思い、五日の休みをもらって車を引く。山道では大峰入りの山伏に背負われ、湯の峰に着いた小栗は復活する。
 これは湯の峰が重い病を持った人々の救いの地であったことを物語っている。差別された病人や障害者をも受け入れる、熊野の神の懐深さがここでも発揮されるのだ。
 その小栗が入ったとされる「つぼ湯」は温泉が流れる川の傍らにあり、小屋囲いされている。ようやく二人ほど浸かれる大きさなのだが、私たちの目の前で若いカップルがいそいそと入っていった。
 ここで一泊。老舗の「あづまや」は十六年前、二回目の熊野詣での時にも泊まった。静かな佇まいと温泉粥の味(硫黄の匂いがするが、食べにくいものではない)は変わっていない。おかしかったのは脱衣場に「お湯に浮かんでいるのは温泉の成分でゴミではないので安心してください」というような貼り紙があったこと。最近は湯の花を気味悪いと思い、掃除をしていないと疑う客がいるらしい。


出版社/編集部からのコメント
待ちに待った春がやってきたようです。
「旅」5月号の特集は「はじめての熊野詣で」です。世界遺産の中でも人気の高い熊野。とはいえ、どこをどう歩いていいのか判らない、そんな方のために、お薦めのハイキング・コースを7本用意しました。本宮大社を目指すコース、本宮大社から温泉を楽しみながら歩くコース、新宮や那智大社を巡るコースなど、どれも2時間ほどで回れる初心者向けのものばかりです。ご自分の足で歩いて、古の道の春を満喫してはいかがでしょう。
とじ込みガイドは、「もっと知りたい日本の世界遺産」です。いま日本には全部で12箇所の世界遺産があります。いったいどこが指定されていて、どうやって行ったらいいのか、そんな疑問にお答えする保存版のガイドです。地元のガイドやア繝ォ繝? 出版社/著者からの内容紹介 【今号の特集】
不思議な縁の聖地紀行
文・イラスト 近藤ようこ

懐深い神々

 なにたる因果の御縁やら。
 昔いっしょに仕事をしていた編集者Aさんと十数年ぶりに再会し、熊野詣でに出ることになった。特に旅行好きでもなく、日本全国行ってないところのほうが多いのに、熊野だけは今度で四回目なのだった。
 これまでの三回も本格的に古道を歩いて行ったわけでなく、電車とバスを乗り継いでいた。今回は紀伊田辺でカメラマンの中野晴生さんと落ち合い、中野さんの車に乗せていただく。これはもう、法皇や上皇が輿に乗って行ったのと同じようなものである。
 コースは中辺路。紀伊田辺から国道311を走る。「熊野ロマン街道」という標識がついている。熊野に初めて来たのは二十三年前で、たしか本宮まで四時間かかったはずだが、現在は一時間五十分だそうだ。当時の道路はくねくねした一車線で、たまに対向車が来るとすれ違うスペースのあるところまで
月刊 京都 2006年 11月号 [雑誌] (雑誌)
この雑誌について
京都発。京ct旬の薫を伝える大人のマガジン

Book Description
特集 禅の庭と紅葉の京都-「禅」ってなに?、禅の庭で紅葉を楽しむ/第42回京都非公開文化財特別拝観-黄梅院(大徳寺山内)、下鴨神社、東福寺三門、浄土院(平等院山門)、瑞光院(萬福寺山門)、南禅院、知恩院三門、法然院、他/秋の特別公開寺宝特別展ガイド-曼殊院上之台所特別公開、平岡八幡宮「花の天井」秋の特別拝観、天龍寺宝厳院名園一般公開、東寺宝物館秋季特別展、醍醐寺霊宝館秋の公開、仁和寺霊宝館秋季名宝展、高台寺大桃山展、他/特別付録-市バス・地下鉄交通マップ付
海と島の旅 2006年 12月号 [雑誌] (雑誌)
この雑誌について
世界のダイビング&ビーチリゾートの情報誌
旅 04月号 [雑誌] (雑誌)
出版社/編集部からのコメント
早咲きの桜の話題も聞こえる今日この頃、春はそこまで来てるようです。
「旅」4月号では、春を満喫出来る「東京」を特集しました。
まずは桜。開花の時期になると、東京にはこんなに桜があったのかと毎年気づかされます。沢山ある桜の名所から、千鳥ヶ淵、増上寺、六義園といった夜桜自慢の10箇所をご紹介します。
東京巡りといえば、なんと言ってもはとバス。そこで浅草、上野から東京タワーといった定番コースを落語家・立川志らく師匠が回りました。題して「落語で巡る江戸下町はとバスツアー」。落語のネタとともにお楽しみいただけます。また散策するなら、やはり人気の皇居周辺。30分から1時間ちょっとまで、散歩にぴったりのコースを三つ作りイラストマップでご紹介します。春風に誘われてのそぞろ歩きもお薦めです。
そして、春限定の東京土産をご用意しました。桜餅、桜マカロン、春のジャム、から桜の香りの香袋や風呂敷などなど、「旅」限定の土産もありますのでぜひご覧下さい。
もうひとつの特集は、大自然を満喫する「カナダ」です。バンクーバーの北西、太平洋上に点在するクイーンシャーロット諸島。野生動物が生き、豊かな自然が残る島々のひとつに、世界遺産にも登録されているアンソニー島があります。先住民族が暮らし、固有の文化遺産が残るこの島へ、ゾディアックという高速ボートに乗って、作家の有吉玉青さんが旅しました。300キロにわたるボートの旅、「カナダアドベンチャーツアー」で自然満喫の旅をお楽しみ下さい。
もうひとつの特別紀行は、東京藝術大学の教授に就任したたけしさんが、ルーヴル美術館を探検した「たけし教授のルーヴル美術館もぐり講座」。『ダ・ヴィンチ・コード』でも話題のルーヴルを読み解くたけしさんならではの美術紀行です。
最後に人気のとじ込みガイドは「宮内庁御用達」です。最高の素材と、確かな伝統が生み出した信頼できる品々。良いものは良いと思えるものの中から、鞄や傘、和菓子から味噌・醤油まで、気軽に手に入れられるものをご紹介します。眺めているだけでもちょっと楽しい頁です。
今月も盛りだくさんの「旅」4月号をどうぞお楽しみ下さい

抜粋
落語で巡る江戸下町はとバスツアー

文・立川志らく
たてかわしらく
落語家。1963年、東京生まれ。立川談志に入門し、1995年に真打昇進。創意溢れる古典落語のほか、映画に材をとった「シネマ落語」でも注目を集める。著書に『全身落語家読本』(新潮選書)、『らくご小僧』(新潮社)など。

お江戸の噺を知らぬまま、
東京見物は野暮じゃあねえか――。
古典落語で行く、志らく流「はとバス」紀行。
イラスト・柴田ゆう 写真・菅野健児(本誌)

江戸城は安かった?

東京に生まれ育っていながら迂濶にもはとバスに乗ったことがなかった。この機会がなかったら生涯乗らなかったかもしれない。東京人にとって、はとバスとは親しいようで実に遠い乗り物なのである。今回乗ってみて思った。東京人及び東京に住んでいる人は、率先して乗るべきだ。それこそ嬶を質に入れてもはとバスに乗らなきゃいけねぇ。
 だいたい今東京にいる輩はあまりにも東京のことを知らない。日比谷の地名の由来をご存知か? 半蔵門は何で半蔵門なのか考えたことありますか? そこらへんのことをはとバスのガイドさんが懇切丁寧に教えてくれるのだ。本当に勉強になる。まあ、ガイドさんは本かなにかで丸暗記しただけかもしれない。浅草の人力車をつかまえて、「人力車を担いでいるお兄さんは物識り」と言っていた。駕籠じゃないんだから担いでどうする。人力車は引く、である。しかしかえってほっとする。ひょっとしてガイドさん、落語家(わたし)よりも古い事を知っているかもという恐怖が消えた。一生懸命勉強したんだなと好感度が増した。とにかくはとバスに乗ることによって、自分の故郷を勉強しつつ楽しむことが出来た。
 今回私が参加したのは下町コース。定期観光のコースを取材のために若干アレンジしてもらったのだ。新宿駅東口から出発。ガイドさんが新宿の由来を説明してくれた。甲州街道に新しく出来た宿場だから新宿。ただガイドさん、昔ここに有名な遊郭があったことには触れなかった。これは触れて欲しかった。今でも新宿には歌舞伎町という大歓楽街がある。遊郭があったという事実になにやら因縁めいたものを感じるではないか。かなり大きな遊郭だったらしい。江戸で一番栄えていたのが吉原。続いて四宿。四宿とは品川、板橋、千住、そして新宿。新宿は四宿のひとつだったのだ。落語「文違い」の舞台になったのも新宿だ。落語「五人廻し」の中で使われる廻しというシステム、つまり一人の女が一晩に何人もの客を相手にする(廻しを取るという)のだ。これは新宿のみのやりかたである。
 (続きは本誌ア繝ォ繝鰯8シtabl
Meets Regional (ミーツ リージョナル) 2006年 09月号 [雑誌] (雑誌)
この雑誌について
時代感覚と切り口が売りの京阪神エリアマガジン

Book Description
特集 夏の街音-街音八景、夏の店ライヴ情報付き!京阪神街音地図、京阪神“音の現場”は今こんなことになっている、輝く?ミーツ街音大賞、他/ミルクマン斉藤-「めくるめく試写会☆取り表」/袖岡保之-「街はゴキゲンな音でいっぱい」
おとなのいい旅 東日本版 2006年 11月号 [雑誌] (雑誌)
この雑誌について
国内旅行のツアーや旅館・ホテル情報、周辺 の観光情報を提供する情報誌
Disney FAN (ディズニーファン) 2006年 10月号 [雑誌] (雑誌)
この雑誌について
ディズニーランドの最新トレンド情報誌

Book Description
東京ディズニーランドで「スクリーム&シャウト」!!-今年はハチャメチャハロウィーン!/5周年を迎えてますますアツい!-5周年のエンターテイメントパーフェクト・ガイド、NEWアトラクション「タワー・オブ・テラー」誌上恐怖体験/ディズニー・ハロウィーン最新コレクション2006-ハッピーハロウィーングッズ大プレゼント、ハロウィーングッズはディズニーストアで!、ハロウィーンパーティーメニュー、ハロウィーン上級者はガーデンパーティーでキメよう!
山と渓谷 2006年 08月号 [雑誌] (雑誌)
この雑誌について
日本の登山界をリードしつづける総合山岳雑誌

Book Description
特集 実践夏のテント山行-軽量化が著しいテントを背負って山より近くに感じられる贅沢なテント山行を紹介/特別企画 星野道夫からのメッセージ-没後10年、星野道夫の写真と文章から、現代の私たちへの伝言を探ります/実用記事 中高年の体力と疲労/作家の山旅 池内紀、石田千、甲斐崎圭
月刊 SuッKara (スッカラ) 2006年 08月号 [雑誌] (雑誌)
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あなたと一緒に「韓国のステキ」「本当に大切なモノ」を見つけていきます。」という韓国ライフスタイルマガジン

Book Description
特集 懐かしい笑顔に出会える・竹郷の街潭陽を訪ねて-潭陽ではさらさらと揺れる竹の音が街いっぱいに響きわたる、竹工芸を作り続ける三茶里村・その自然が織りなす豊かさ、我が家のような居心地のよさで体を癒してくれる素朴な民宿、潭陽で食べる昼食、潭陽をのんびり歩く、他/スッカラ・ソウル編集部が選んだイチオシ情報・スッカラちゃんのKOREAN STAGE-韓国式美肌対策、夏の食べ物、コリアンデザインTシャツ、ビール、夏の海・夏の漢江、ソウルライフ、韓国のギモン解決!おもしろ実践韓国語、他/Korean Beauty Life 「ホクロの話」:伊東順子-整形手術が盛んだと言われる韓国・その本当の理由は・・・
Leaf (リーフ) 2006年 08月号 [雑誌] (雑誌)
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京都・滋賀の情報誌

Book Description
のんびり休日滋賀153軒/びわ湖を眺めてのんびりランチ、森林浴をしながらティータイム。そんな休日をゆったりのんびり過ごせる店から長浜、栗東、南草津、近江八幡、彦根などなどエリアのスポットも大特集。Leaf初の滋賀特集は超保存版!/浴衣で楽しむ!東京ディズニーリゾート

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